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企業年金Q&A

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  • 確定給付企業年金とは,どんな制度ですか。厚生年金基金と何が違うのですか。
  • 厚生年金基金は国の厚生年金の代行給付を行いますが、企業年金基金はそれがありません。母体企業の退職金制度を担う法人です。

    厚生年金基金は、昭和41年からスタートしましたが、近年の金利の低迷や運用環境の大きな変動により所定の収益が確保できない状況が続きました。なかには代行部分の債務さえ確保できない、いわゆる代行割れの状態になった基金も現れました。このため、平成14年から確定給付企業年金法が施行され、国の年金を代行しない企業年金基金への移行ができるようになりました。

    「企業年金基金」は、確定給付企業年金法に基づく法人で、母体企業とは別の法人格を持っています。将来の給付額を予測し、予め定められた運用利回りをもとに掛金を算出する仕組みとなっています。平成26年5月1日に厚生年金基金から基金型の確定給付企業年金に移行しました。その後、平成29年5月1日に規約型の確定給付企業年金に移行しています。その際、給付の条件は一切変更していません。規約型に移行する際には、厚生労働大臣による年金規約の承認を受けています。年金の資産は、当法人が信託銀行二行と生命保険会社一社と委託契約を交わし、予め定められた運用方針に則り運用されています。

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  • 代行返上とはどういう意味ですか。
  • 厚生年金基金では、厚生年金の報酬比例部分について、国に代わって保険料の徴収や資金の運用、そして年金給付を行います。これらの行為すべてを国に返上することを「代行返上」といいます。

    代行返上により、今まで積み立てられた代行部分の年金資産を国に返還する必要があります。当基金が国に返還した額は21億3000万円です。平成27年6月に全額一括納付しました。

    なお、代行部分の年金は返上以降は国から支給されますので、支給総額は代行返上前と変わりません。また 厚生年金基金の上乗せ部分(加算部分とプラスアルファ部分)の支給義務と積立金は、現行の企業年金に継承されています。プラスアルファ部分は退職時に一時金もしくは年金として給付されます。

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  • 厚生年金保険料はどのように決まるのですか。
  • 国の厚生年金保険料は,その人の給与とボーナスに所定の保険料率をかけて算定されます。算定のもとになる給与とボーナスのことを標準報酬月額と標準賞与額といいます。2004年の年金改革で、同年から毎年0.354%ずつ引き上げられ、2017年(平成29年)以降は18.3%とすることが決定しています(保険料水準固定方式)。

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  • 企業年金の掛金率はどのように決まるのですか。
  • 企業年金の掛金率には、標準掛金と特別掛金があります。標準掛金は加入者に対する将来の給付を賄うための掛金です。掛金率を算定するにあたり、計算基礎率を用います。計算基礎率は、予定利率、予定死亡率、予定脱退率、予定昇給率などをもとに、加入者の実態構成を加味して算定します。特別掛金は制度変更などで発生した積立不足額を償却するための掛金です。償却期間により掛金率は変わります。規約に定めた償却期間は3年で、均等・弾力・定率償却を用います。

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  • 企業年金からはどんな年金・一時金が受けられますか。
  • 企業年金からの給付は加入者期間3年以上の方が対象です。加入者期間が15年未満の方は脱退一時金となります。加入者期間が15年以上の方は年金か一時金を選択することができます。一時金の場合は25%、50%、75%、100%の刻みで選択できます。年金を選択した場合、給付は60歳以降となります。それまでの期間は据え置かれますが、一定の利率が付与されます。また60歳を待たずに一時金として受け取ることもできます。60歳以降に年金を受け取っている場合においても、一定の条件を満たせば一時金として受け取ることができます。この制度では、生活設計に合わせた選択肢を準備しています。

    一時金に関する税制上の取扱いをご説明します。退職所得の場合は所得控除額が大きく優遇されていますが、一時所得の場合の所得控除額は最高で50万円となっています。そのため、納付額は大きく食い違ってきます。

    ○退職所得となる事例

    • ・退職に起因する一時金
    • ・職員から役員になった場合の一時金(打切支給)
    • ・待期中で年金受給前の年金に代える一時金
    • ・受給開始後で将来の年金に代える一時金(全部選択)

    ○一時所得となる事例

    • ・退職日前の年金に代える一時金
    • ・受給開始後で将来の年金に代える一時金(一部選択)

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  • 加入員や受給者が死亡した場合、年金はどうなりますか。
  • 次の①~④の場合に、死亡した人が基金から受けられるはずだった老齢給付金や脱退一時金に代えて、遺族給付金(一時金)が支給されます。

    ①加入者期間が3年以上ある加入者が死亡したとき

    ②休職中の者が死亡したとき

    ③退職して老齢給付金をうけはじめる前の人が死亡したとき

    ④老齢給付金をうけはじめて15年未満の人が死亡したとき

    なお、遺族給付金を受けられる遺族の範囲と請求できる順位は次の通りです。

    1)配偶者 2)子 3)父母 4)孫 5)祖父母 6)兄弟姉妹 7)死亡の当時生計を同一としていたその他の親族

    税制上の取扱いについて、事例ごとにご説明します。

    年金の税制上の取扱い

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  • 働きながら年金を受け取ると年金は減額されますか。
  • 在職中(厚生年金保険加入中)の人の年金については,支給調整が行われることになっており,年金月額と給与額の合計が一定額以上の場合は,減額された年金(在職老齢年金)を受けます。年金の支給調整の仕方は,60歳台前半と後半で異なり,60歳台後半は調整方法がゆるやかになります。ここでは、60歳台前半(60歳以上65歳未満)の在職老齢年金の支給停止の仕組みを示します。

    支給停止

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  • 年金に税金はかかりますか。
  • 国や企業年金から支給される年金は、公的年金等にかかる雑所得として所得税の対象となります。支給される毎に源泉徴収されます。ただし、以下の場合は所得税が課されません。また、障害給付や遺族給付は非課税となります。

    ①65歳未満で公的年金額が108万円未満

    ②65歳以上で公的年金額が80万円未満

    公的年金の支給額が65歳未満で108万円(65歳以上の場合は80万円)以上の方は、各種控除を受けるために「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」(以下「扶養親族等申告書」)を提出する必要があります。毎年11月に日本年金機構から該当者に送られてきますので、提出期限までに必ず返送してください。扶養親族等申告書を提出しない場合、控除は年金支給額の25%のみとなり、その他の各種控除を受けることはできませんので注意してください。

    当企業年金から支給される年金は、金額の多寡にかかわらず、年金支給額の7.6575%相当(復興特別所得税を含む)について源泉徴収されます。また、所得税法上「扶養親族等申告書」の提出はできないこととされているため、控除は年金支給額の25%のみとなり、その他の各種控除を受けることはできません。また、公的年金等に係る雑所得等の収入金額が400万円以下で、かつその年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の方は確定申告が不要です。ただし、各種控除を受けるためには確定申告を提出してください。

    (所得税率〔7.5%〕×復興特別所得税〔102.1%〕=合計税率7.6575%)

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  • 基本権または支分権の時効について教えてください。
  • 国においては、保険給付を受ける権利(基本権)は、5年を経過したときに時効によって消滅します(厚生年金保険法第92条、国民年金法第102条、船員保険法第5条)。これは、会計法第30条で規定されている金銭債権等の消滅時効(※1)によるものです。

    しかし、基本権については「年金たる保険給付を受ける権利の時効消滅の防止について」(昭和42年4月5日庁文発第3665号)の通知により、時効による消滅をさせないよう指導されています。一方、支分権(支払期月に前月までの支払いを受ける権利)にかかる時効の起算日については、期間の計算として、特に法律または命令のなかで特別な計算方法を 定めているもののほかは、民法の規定を準用すること(厚年法第93条、国年法第103条、船保法第6条)しています。準用する民法第166条第1項では「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する」とされていますが、法律上、支払期については「月」で指定されていることから、支払月については受給権者が期限の利益を有すると解されます。したがって、支払時効の起算日以降の支払期月分から支給します。

    時効の中断の考え方は、次のようになっています。裁定請求をするということは受給権者が保険者に対し年金の支払いを請求する意思を表現する、ということも兼ねますので、裁定請求は、時効の中断事由として民法第147条に規定されている「請求」に該当するといえます。したがって、裁定の請求がなされたとき、具体的には年金事務所で裁定請求書を受理した日に時効は中断すると考えられます。

    なお、裁定の請求は、所定の様式による書面により行うことを建前としていますが、所定の様式に合致しないものであっても、裁定請求書として受付、改めて所定の様式を提出していただくことになります。 このことから、基金においても、規約に時効を定めている場合は、前述の国の取扱いと同様に取り扱うことになります。

    ※1 会計法第30条(金銭債権等の消滅時効)

    金銭の給付を目的とする国の権利で、時効に関し他の法律に規定がないものは、5年間これを行わないときは、時効により消滅する。国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。

    (例) 受給権発生が平成8年6月で平成15年9月16日に裁定請求書(老齢年金)を受け付けた場合

    (年6回払い)

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